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脳科学専門医の山嶋 哲盛さんが、アルツハイマー病の原因物質はアミロイドβではなく、サラダ油由来のヒドロキシノネナールである との寄稿を東洋経済オンラインにされていますので、ご紹介します。


東洋経済オンライン より

毎日の「サラダ油」が認知症を進行させる!
アルツハイマー病の「真犯人」とは?

 

脳科学専門医 山嶋 哲盛

私は脳科学専門医として、金沢大学大学院医学系研究科で脳の神経細胞に関する基礎研究を行っています。それと併せて、金沢大学附属病院や市中病院などで、脳の病気に苦しむ患者さんの診療も行っています。

40年ほど臨床医を続けてきて、ここ数年、実感していることがあります。それは、症状が完成した認知症の患者さんだけではなく、その予備軍がものすごい勢いで増加しているということです。

なお、本記事でいう「認知症」とは、世界的に最も患者数が多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)を念頭に置き、それを中心に述べていくことをご承知おきください。

 

アルツハイマー病の「真犯人」とは?

アルツハイマー病の原因としては、ここ半世紀近くもの間、脳内に蓄積する「アミロイドβ」という物質の関与が強く疑われていました。「タンパク質のゴミ」であるアミロイドβが脳内に蓄積し、老人斑(アミロイド斑)として沈着し、やがて神経細胞が死滅していくという「アミロイド仮説」が有力視されてきたのです。


Meguro K. et al. Arch Neurol.2002:59:1109-1114より作図

しかし、10年ほど前から、アルツハイマー病の研究者の間では、「アミロイドβ犯人説」に疑いの声が高まってきました。

では、アルツハイマー病の根本原因とは、実際のところ、何なのでしょう? 私は、「ヒドロキシノネナール」という毒性物質こそが、アルツハイマー病の原因物質であるという新説を立てています。

ヒドロキシノネナールと聞いても、みなさん、ピンとこないかもしれません。ヒドロキシノネナールの「ナール」というのは、「アルデヒド」の別名で、実は両者は同じものです。

「アセトアルデヒド」という言葉を聞いたことはありませんか? これは二日酔いの原因物質です。アセトアルデヒドであれば24時間以内に分解されて体外に排出されるので、さほど問題はありません。しかし、ヒドロキシノネナールは体内に残り、少しずつ蓄積されていく非常に厄介な代物なのです。

 

認知症患者の脳では神経細胞が死んでいる

ヒドロキシノネナールは大事なキーワードです。覚えづらいので正確に暗記しなくても、「ヒドロちゃん」とでも呼んで記憶にとどめておいてください。

ヒドロちゃんは端的にいえば「毒」です。サラダ油の主成分であるリノール酸がセ氏200度前後に加熱されると、ヒドロちゃんは急激に増えます。

これが体内に入ると、まるでドミノ倒しのように細胞膜のリン脂質を酸化し、ついには、神経細胞だけではなくあらゆる臓器の細胞を死に追いやります。

そうなると、脳の神経細胞は死んでしまい、最終的には「海馬」という「記憶の指令センター」が萎縮してしまいます。

海馬の萎縮は、認知症の大きな特徴です。認知症の人の脳をMRIやCT検査(断面像として描写)で調べると、脳自体が萎縮していなくても、海馬は必ず小さくなって隙間が空いているのを確認することができます。

つまり、サラダ油を取るという行為が、体内(特に脳内)にヒドロちゃんを蓄積させ、熱ショックタンパク質70(脳の神経細胞の生存に必須のタンパク質)を酸化損傷させます。その結果、神経細胞が死滅し、海馬が萎縮するという悪循環につながってしまうのです。

そこで、私が診療において、患者さんたちに強くお勧めしているのが、「脱・サラダ油」生活です。

具体的には、家にあるサラダ油は捨て去り、原材料ラベルにサラダ油を原料とする「植物油脂」「食用植物油」などと書かれている市販品は口にしない生活です。サラダ油のみならず、それを原料に作られたマヨネーズやマーガリン、ドレッシングなども口にしないことです。

みなさん、「そんなの簡単!」と思うかもしれませんね。でも、いざ実践しようとすると、意外に難しいことに気づくはずです。

試しに、スーパーやコンビニで、惣菜や加工食品、スナック菓子やデザートなどを手に取ってみてください。

パッケージの裏の原材料表示を見てみましょう。かなりの確率で「植物油脂」「食用植物油脂」という表記を目にするはずです。これらはサラダ油でできています。

意識して観察してみると、サラダ油を使った加工食品があまりにも多いので、きっとびっくりするでしょう。

 

加工食品に多い、隠れ「サラダ油」に要注意!

問題なのは「植物油脂」「食用植物油脂」「ショートニング」など、加工食品やスナック菓子などに紛れ込んでいるサラダ油です。

たとえば、コンビニやスーパーに並ぶパン、ポテトチップス、それに天ぷら、フライ、カツ、串揚げなどの惣菜……。また、冬にコンビニでおでんでも買うとしたら、がんもどき、さつま揚げはサラダ油で揚げられています。

では、自炊して家でカレーでも作ろうと思えば、市販のルウにはしっかり「植物油脂」が含まれています。カレールウの原材料表示を見ると、だいたい最初に書かれているのが「植物油脂」「食用植物油脂」です(原材料の成分は、通常、多い順に表記されています)。マヨネーズも同様に、原材料に「食用植物油脂」「菜種油」などとあります。

インスタントラーメン、カップ麺も「ノンフライ麺」を除けば、サラダ油で揚げられています。

ほかにも、スーパーやコンビニで売られているケーキ、プリン、シュークリームなどには、高価なバターの代わりに、「植物油脂」がよく使われていますし、食パンや菓子パン、デニッシュ類の多くは生地を練りこむときにマーガリンが練りこまれています。また、クッキー、ビスケット、パイには、さくさくとした食感を出すためにショートニングが使用されています。

デザートやパン類、デニッシュ類、洋菓子を買うのなら、原材料表示に「バター」と記載されているものを選ぶようにしましょう。

そんな「見えないサラダ油」を避けるには、自分の口に入れるものは自分で作るという基本方針でいくのが、健康を守るために非常に大事です。手作りであればどんな油を使うのか、自分でセレクトできるからです。

脳と体にいいという理由で、私が積極的にお勧めする油は、次の5つです。

① ごま油(太白か低温焙煎)
② 高級米油……揚げ物か炒め物に使用
③ オリーブオイル……炒め物か加熱しないでそのまま使用
④ えごま油
⑤ 亜麻仁油……酸化しやすいのでドレッシングなど生食で使用

 

価格は、ごま油は1㏄当たり2〜3円、米油は1㏄当たり3〜5円、オリーブオイルなら1㏄当たり10円程度、えごま油、亜麻仁油は5〜10円を目安とします。品質のよい製品は、手間と時間をかけて低温圧搾して作られるため、大量生産はまずできません。すると、価格は当然ながら高くなります。

また、使用量を考えて、酸化が進まないうちに開封後1〜2カ月以内に使いきれる分量を購入します。

 

30~50歳代の食生活が予防の要

認知症を恐れるなら、有効な手立ては、サラダ油をきっぱりとやめてしまうことです。もしもあなたが30代、40代で、「認知症なんて20年、30年先の遠い将来の話だし。私には関係ないね!」なんて考えているのであれば、その認識は直ちに改めてください。

認知症の代表格であるアルツハイマー病についていえば、発症は65歳以上の高齢者に多いのですが、発病は、実は20年以上も前の40代から始まっています。

仮に、45 歳で発病した場合、ゆっくりゆっくり進行し、65歳で何らかの症状が出て発症します。その後、70歳くらいで正式に認知症と診断され、確定診断された患者の場合、その余命は平均するとおよそ10年なので、だいたい80歳で死を迎えることになります。これが、最もポピュラーなアルツハイマー病の生活史となります。

つまり、発病と発症の前、30~50代をどう生きるかによって、発症の時期を遅らせることができるか、できないかが決まるのです。

たとえば、30代、40代前半から気をつけていれば、認知症の”発病”を45歳から55歳に遅らせることができるでしょう。

では、50代になって初めて気をつけだすのではもう遅いかといえば、そんなことはありません。たとえ、50代ですでに”発病”していたとしても、”発症”を少なくとも5年は遅らせられると考えると、実際には70歳前後での発症となります。

みなさん、30代、40代は、認知症になるにはまだまだ若いとお思いですよね。でも、決して、心配しなくていいというわけではありません。確かに先のことではありますが、サラダ油にまみれた生活を続けていれば、脳内にはヒドロキシノネナールの蓄積が進む一方です。そして、真綿で首を絞めるように、神経細胞は時間をかけて1個ずつ確実に死滅していきます。

実は私は、若い世代や子どもたちにこそ、「脱・サラダ油」生活を実践してほしいと願っています。ファストフードやスナック菓子、サラダ油で調理された料理を食べ続けていると、ヒドロキシノネナールは知らず知らずのうちに、少しずつ少しずつ体内に蓄積されていきます。

むしろ、中高年よりも若い世代のほうが「サラダ油」漬けの生活にどっぷりとはまり込んでいるため、将来的に見た蓄積度合いは深刻かもしれません。

 

発症年齢に近い50代でも悲観する必要はなし

そして、発症年齢に近い50代の方は「発症までもう時間がない、遅かった……」と悲観することはありません。

50代でもまだ認知症の魔の手から逃げ切れる可能性は十分にあります。仮に”発病”していたとしても、”発症”するまでの年齢を遅らせ、できるだけ時間稼ぎをして、自身の健康寿命を平均寿命に少しでも近づけるように努めればいいのです。

認知症は、最初は勘違い程度の物忘れやちょっとしたうっかりミスから始まって、緩やかな長〜い下り坂を下りていきます。そして、確定診断がつく頃には、まさに1年ごとに加速して転げ落ちるような状態……「あの人、誰だっけ?」「あれ、ここはどこだっけ?」となってしまいます。だからこそ、認知症は早期発見、早期治療が大事なわけです。

そもそもは発病しないことがいちばんですが、仮に”発病”していたとしても、”発症”をいかに遅らせ、健康寿命を引き延ばせるかが重要なのです。

 

山嶋 哲盛  やましま てつもり    脳科学専門医

石川県金沢市生まれ。1975年、金沢大学医学部卒業、1979年、金沢大学大学院医学系研究科修了(医学博士)。ドイツおよびスウェーデンに留学し、神経病理と脳科学を学ぶ。金沢大学医学部付属病院医局長、金沢大学医学部助教授、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科・再生脳外科科長などを歴任。
現在、有松医科歯科クリニックのCEOを務め、同クリニック(火曜~土曜)、南ヶ丘病院(脳外科嘱託医:月曜午前)、および金沢大学付属病院(精神科非常勤講師:月曜午後)にて、「高次脳機能障害」専門外来を行っている。アーバンス神経心理テストとMRIやPETスキャンを駆使して、認知症状が初発する数年も前にアルツハイマー病を早期診断し、予防的治療を行うことで定評がある。
神経細胞死のメカニズムとして「カルパイン-カテプシン仮説」を1998年に提唱。アルツハイマー病の原因物質はアミロイドβではなく、サラダ油由来のヒドロキシノネナールであることを発見。英文論文200篇、和文論文75篇、および単行本15篇を著す。

 


 

 

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